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〜 外資系新任社長の仕事術 〜

右腕を連れてくる

 社内から昇進するのではなく、外から新たに就任する社長には、就任先企業内への人脈はありません。これは敵地へひとりで乗り込むようなものです。特に外国人社長にとっては、言葉も文化も違う(というより通じない)ところへいくわけですから、その大変さは想像に難くありません。また、日本人社長の場合であっても、言葉や通じますが、それまでずっと働いていた日本人社員のやっかみと嫉妬の中へ入っていくことはなります。逆に社員の反発が大きいことも少なくありません。

 そこで、新任社長にとって右腕となる人材をつれてくることが大切となるのです。敵地へ乗り込むのが二人となることで、自分自身の拠り所になるだけではなく、社内への影響力も相乗効果で倍以上になるのです。

 この右腕となる人材は、やはり重要なポジションに配置したいところです。人事部長などに配置できれば、その後の采配に力強い味方ができることになります。また、マーケティング本部長も、全体の企画やコントロールを担う仕事なのでいいかもしれません。最近では、情報システム部門が会社の鍵を握ることもあり、情報システム部長の位置づけを引き上げると同時に、そこに右腕を配置するという動きもあるようです。もちろん、アカウンティング(経理)などの金の流れをコントロールする部門を押さえるのも基本的なやり方です。



ポジションがなければ、社長秘書室をつくる

 新任社長は、右腕を連れてくることが大切だといいましたが、このとき、主要なポジションが空いていないケースがあります。主要なポジションの人材も、必死に自分のポジションを守ろうとします。よほど問題があきらかな人材でない限り、簡単に変えることができないかもしれません。このようなときは、発想を切り替えることが必要になります。一定の評価を得ている部門長クラスを入れ変えることは、一般社員からの不満やモラールの低下による混乱に拍車をかけることにもなりかねません。

 そこで、そのような場合には、新たに主要なポジションを作ることで、右腕の活躍の場を作ることができます。例えば社長秘書室のようなものを作り、そこの室長として右腕を配置します。そして、他の本部長クラスを社長秘書室の下に付けてしまえば、全体へのコントロール力は強固なものになります。

 他にも、人事部長の上に人事本部長を置く、マーケティング部長と情報システム部長の上に、情報マーケティング本部長を置くなど、発想次第で、右腕のポジションは無限に広がっていくのです。



各部門トップのインタビュー

 “新任社長の最初の仕事である”といってもいいぐらい各部門トップのインタビューは大切です。これによって、社内のいろいろな流れの元を押さえることができます。人の流れを管理する人事部門、情報の流れのインフラを押さえる情報システム部門、資金の流れを管理するアカウンティング(経理)部門、などが中心でしょう。そして、マーケティング部門も、付加価値を生み出す情報の流れをつくるところとして、また企業の戦略や企画の中心として重要です。メーカーであればデザイン部門を押さえる必要もありそうです。

 これらの部門のトップが自分の方針に沿った動きをすることができるのか、その上で沿った動きをする意志があるのかを見極めることが大切です。動きができない、また意志が違うところにありそうだと感じたら、すぐに手を打たなければなりません。放置しておくことによる影響の拡がりを考えれば、人事措置による早めの軽い混乱は、十分受け入れやすいものです。

 しかし、現実的には、インタビューだけで、その人物の評価を下すことは難しいことです。そこであやしいと感じた部門長には、インタビュー後、数ヶ月の猶予期間を与え、その間の結果次第で、進退を決めるというやり方を取るのです。



カンパニーポリシーの作成

 誤解を恐れずにいうのであれば、それまでに打ち出されていた方針は関係ありません。新任社長は、必ず自分が今後どのように進めていくのかというカンパニーポリシーを早い段階で作成し、社員に示さなければなりません。

 たいていの場合、それまでの方針がうまくいかなかったからのトップの交代になっているはずです。ですから、カンパニーポリシーは、前任者からの流れに沿うものである必要はありません。前任者のカンパニーポリシーは否定されているのです。

 また、前任者がうまくやっていたとしても、前任者の方針を踏襲するということが高く評価されることはまれです。「それまでの方針の踏襲」イコール「なにもやらない」という色眼鏡で見られてしまうリスクがとても大きいのです。前任者が会長として影で実質支配しているのであれば別ですが、そうでなければ、新任社長にとって、踏襲という選択にはメリットがほとんどないのです。新たに方針を打ち出すことで、その新任社長の存在感がクローズアップされてくるのです。

 新しいカンパニーポリシーで、自分の方針を徹底させることができます。それに従わない人間が出てきたら、自分の方針に従わないとの理由で切ることもできますから、この作り込みは大切です。カンパニーポリシーは、「自分はこのような考え方で進めていく、これに異論がある人間は、自分で進退を考えろ!」と社員に判断を促すものでもあるのです。



気に入らない部門を入れ替える

 自分が出した方針であるカンパニーポリシーに対して、「それは現実的ではない」「日本では違う」などと、意見を言ってくる部門があることもあるでしょう。そのような気に障る部門は、早い段階で入れ換えを実施しなければなりません。そのままにしておくと、その文句が伝染病のように他の部門に拡がったり、文句を言ってもよいのだという雰囲気ができたり、また新社長はおかしいのだという噂の原因になったりと、その影響が予測困難なほど大きいかもしれません。そうであれば、善は急げとばかりに気に入らない部門の入れ替えをしてしまいましょう。

 部門全体を入れ替えるというのも、ひとつの方法です。ご存じの通り、新任社長が業績不振の原因を営業部門のせいにして、営業部門を丸ごと入れ替えるというケースはまれではありません。それでは事が大きくなりすぎると考えるのであれば、部門のトップを入れ替るだけでもよいでしょう。それに伴って、その部門長に共鳴するタイプの人材は辞めていくはずです。後に残るのは、それまでの部長に共感していなかったり、頭の切り替えが早いタイプだったりするので、たいていの場合はそれでOKです。

 もし問題がある人材が残ったとしても大丈夫です。その人材の処遇を考えるのは、次の部門長の責任なのですから。



人事部門を入れ替える

 新任社長にとって、新しく自分らしい組織を作るために、常に関わりを持っていなければならないのが人事部門です。すでに説明した通り、気に入らない部門の入れ替えについても、部門のトップだけに手を付けるのか、全体に手を付けるのか、というのは大切な判断です。その際、実際に手を出すのは人事部であり人事部門長です。もし人事部が積極的に動いてくれなければ、新しい体制の構築がうまくいかないだけでなく、様々な法的トラブルを招くことにもなりかねません。

 だからこそ、最初に人事部門長を掌握できるようにしておかなければならないのです。人事部門長の協力があって、はじめて全てが実現する、自分の形を作り上げることができるのです。この部分が新任社長の生命線でもあるのです。



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